旧神岡町(岐阜) 南俣山(1480m) 2018年11月4日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:00 送電線巡視路入口−−6:23 尾根取付−−7:05 1467.5m三角点−−7:17 南俣山山頂(1480m) 7:25−−7:34 北尾根分岐−−8:00 送電線巡視路−−8:03 送電線巡視路入口

場所岐阜県飛騨市(旧神岡町)
年月日2018年11月4日 日帰り
天候
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場送電線巡視路入口に駐車余地あり
登山道の有無送電線巡視路以外は無し
籔の有無主に根曲がり竹。笹と灌木も混じる。上部はそれなりに強固
危険個所の有無無し
山頂の展望無し
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント無雪期の記録が無い南俣山に挑戦。ここでは三角点が設置された肩ではなくその東側の1480m峰を山頂とした。昨日同様、根曲がり竹の藪漕ぎで顔その他が傷だらけになったが横岳の根曲がり竹よりはマシだった



送電線巡視路入口 送電線巡視路入口
送電線巡視路入口の標識 立派な橋が架かる
巡視路は完璧な刈り払い 最初の送電鉄塔
良好な巡視路が続くがアップダウンが多い あの鉄塔が目的の尾根
振り返る 目的の尾根上の鉄塔到着。やっぱり藪だな
鉄塔から山頂まで約950m 少し登ると笹が消えて歩きやすい
標高1220m。笹が出たり消えたりの繰り返し 標高1270m
標高1300m 標高1310m。これより上部は根曲がり竹がずっと続く
標高1330mのブナ 標高1330m
標高1380m。根曲がり竹の海を平泳ぎ中 標高1430m。ここだけ腰の高さの笹で展望あり
標高1450m。ここだけ地面が出ていた 三角点の目の前はやっかいな灌木藪
三角点到着 三角点
三角点近くの木に山頂標識あり 最高点(1480m峰)目指してさらに東へ
三角点から最高点まで約250m こんな激藪の中に境界標石発見
地形図に表記されない微小ピークは藪無し 再び根曲がり地獄へ突入
最高点が近づくと針葉樹登場&藪消失 南俣山山頂(標高1480mピーク)
微かに赤ペイントが残る 最高点に赤テープを残す
帰りは北尾根を下る。入口はやっぱり根曲がり竹地獄 少し進むと尾根が明瞭化
標高1410m肩。分かりやすい地形。ここで北西へ 標高1380m
標高1350m。ミスって尾根を外しトラバース中 標高1310mの熊棚。昨年のもの
標高1300m。灌木混じりの強烈な藪 標高1250m。この先は根曲がり竹は断続的
標高1180mで植林帯登場 植林中を下る
まとまった場所に倒木あり 狙い通り最初の送電鉄塔に出た
この藪は右側を迂回 杉植林を振り返る
巡視路は高速道路 橋を渡る
場所を選べば飛び石で渡れる 巡視路入口到着
地形図で県道が細まる箇所。直進は行き止まり


 旧神岡新道登山口の南側にあるのが南俣山。神岡新道は既に廃道化していて利用者がいないため、そこに至る林道も利用者は少なくマイカーで入れるかも不明。地図で見ると県道ということになっているので目的地まで行けそうな気配ではあるが、とりあえず車で行けるところまで行ってみよう。

 山の西山麓に送電線が南北に通っているのでその下に巡視路があるはずで、グーグルアースの衛星画像を見るとはっきりと道形が写っていた。これで山頂から西に派生する尾根まで登り、そこからは尾根上を進むのがもっとも藪漕ぎ距離を短くするルートと見た。

 地形図では車道は打保谷川の両岸に設置されているが、県道は左岸側なのでそちらを進む、というかカーナビはそちらを指し示した。途中までは広い舗装道路だったが、途中で直進は行き止まりのようになり右に未舗装の細い道が分岐する。これでも県道らしいがどうみても林道レベルで普通車で無事に通過できるのか怪しいくらいだ。道路中央に生えた草で底を擦りながら奥へと入り、樹林帯になると両側から笹がはみ出し路面は水で削られ石が露出し溝もできている。ここでUターンしたいが車1台分の道幅しかなく、これまでの悪路をずっとバックで戻るのは危険なので前進あるのみ。地形図どおり打保谷川を渡る橋はちゃんと存在し、対岸の林道へ出るとずっとまともな道だった。これなら最初から右岸の林道を走ればよかった。帰りはそうしよう。

 目的地は送電線なのでなおも奥へと車で入る。しばらくはダートながら良好な路面状態だったが、奥へ進むと落ち葉に覆われて見た目では分からないが深い砂利に変わり抵抗が増える。スタックするほどではないが要注意。そろそろ車から歩きに切り替えてもいいような距離になったので駐車可能な場所を探しながら進んでいると送電線巡視路入口に到着。どうにか普通車で入れてしまったが他人にお勧めできる道ではなかった。周囲の植生は高さ3m近い根曲がり竹。最初からこの植生だと山頂まで相当苦労しそうだ。横岳の翌日なので少し軽めの山として選んだが予想外だ。これで朝露に濡れていたら最初から雨具装着でビショビショ、ドロドロになって藪漕ぎすることになる。せめて藪が乾くことを祈ろう。

 巡視路入口で車中泊。こんなところにやってくる人は滅多にいないので他に車はやってこない。水の流れを聞きながらゆっくりと眠れた。

 翌朝は冷え込んで車内気温は+5℃。暖かい朝飯を食って薄明るくなった6時過ぎに出発。山頂までの標高差は約350mで予定では往復1時間半程度を見込んでいるが、藪がひどいとかなり時間が延びそうだ。昨日の横岳での藪漕ぎの疲労がまだ残っていて足が重いし上半身のあちこちが筋肉痛だ。今日もまた根曲がり竹との格闘とは・・・。車の周囲の笹はたっぷりと水滴を乗せていた。朝露だけではなく夜間に僅かに雨が降ったようだった。昨日の天気予報では好天と言っていたが頭上は雲が多い。

 周囲の深い根曲がり竹藪とは裏腹に巡視路の整備状況は完璧で体に触れる藪が無い。打保谷川にかかる橋は立派な鉄製で残雪期に増水しても十分使用可能だ。ここだけが心配で長靴を用意するか悩んだ点だったが、渇水期の今は場所を選べば飛び石で渡れる状態だった。

 送電線は西山麓を南北に縦断していて、歩いてみると小尾根を1個1個乗り越えていくので無駄なアップダウンが続き精神的に疲れる。いっそうのこと最初の尾根から山頂を目指そうかとも考えたが、そこは見える範囲では根曲がり竹は無いがその先の保証は無いので、当初計画どおり巡視路で上げられるだけ高度を稼ごう。

 最高点に立つ送電鉄塔に到着、ここから尾根に取り付くが最初は笹と潅木の藪。周囲の笹の葉を触ってみたが乾いているので雨具は付けずに突入、この付近はまだ低密度なので両手で簡単に藪が開いてくれるが、昨日の筋肉痛が。久しぶりの長時間本格的な藪漕ぎをやったので仕方が無い。

 このまま藪が続くと思いきや、藪が無い背の高い落葉樹林帯に変わり楽に進めるようになる。このままどこまで行けるかと考えながら歩くと、100m程度進んで根曲がり竹の群落が登場。ぱっと見た感じでは尾根直上が一番濃くて左右の斜面は下がるほど笹が消えていくので適度に巻いてみたが、笹の範囲が広がり巻く意味が無くなったので尾根に復帰。まだこの付近の根曲がり竹の密度はそれほど高くないので大したスピードダウンにはならない。

 再び根曲がり竹が消えて歩きやすくなってはまた登場するというパターンを何度か繰り返すが、標高約1310mを越えるとどこまで行っても根曲がり竹の海が続くようになり、筋肉痛の腕で平泳ぎ。でもまだ昨日の横岳よりはずっとマシな密度で、藪が乾いていることもあり快調に藪を漕ぐ。希に獣道があるがほとんどの場所でそれは見られない。尾根幅が広いので獣の通り道が分散するのだろう。

 標高1430m地点で10mほどの区間で背の高い根曲がり竹から背の低い笹に変わっているエリアがあり、ここだけ展望が得られた。と言っても周囲は樹林なので遠景は見えないが。残念ながら進行方向である上を見ても背の高い笹で視界が遮られて先の様子は見えなかった。標高1450m付近では根曲がり竹、笹とも消えてまるで刈り払ったような斜面がこれまた10mくらい出現。残念ながら道はどこにも無く、根曲がり竹の海にぽつんと浮かぶ孤島のようであった。なぜ自然にこんな植生が生まれるのかは謎だが、ほっと一息できる唯一の場所だった。

 その後は再び根曲がり竹の海で平泳ぎ。残念ながら高度が上がるに従ってその濃度は徐々に上昇、じわじわと体力を奪われていく。それでもまだ横岳レベルには達しないのでマシな部類だが、昨日の疲労が抜けきれない中でこのレベルの藪漕ぎは疲れる。

 これまではほぼ純粋な根曲がり竹藪だったが、とうとう尾根上いっぱいに横枝を伸ばした魔の潅木藪が登場。これは乗り越えるしかないので手間取ったが、そのすぐ先の根曲がり竹の中にぽつんと三角点があった。潅木藪が三角点のいい目印代わりだった。一般的にはここを南俣山山頂としているのかもしれないが、地形図を見るとここは肩でこの周辺の最高点は東にある1480m峰である。私は最初からそこへ行く計画なので、ここは写真撮影のみ行う。念のために周囲を探したら山頂標識があった。手の届く高さだったので無雪期に登ったか、残雪期末期に登った人が取りつけたものだろう。木製で色褪せて数年以上経過しているのは確実だったが、まだ文字がはっきりしているので10年は経過していないだろう。

 GPSを見るとここから最高点まで約250m、まだまだ根曲がり竹との格闘が続く。しかも傾斜が緩んでからの方が藪が深く、方位磁石で方向を確認して藪を掻き分けて進む。地形図で尾根が屈曲する1460m等高線に囲まれた部分は微小ピークが存在し、最初はここが最高点かと思ったがGPSを見るとまだ100m以上手前だった。ここだけは根曲がり竹がきれいさっぱり姿を消して山頂っぽい光景だった。しかしその先はまた根曲がり竹。さすがに飽き飽きしてしまう。

 しかし1480m峰が近づくと、これまではブナなどの落葉広葉樹が中心だった植生が、ネズコや五葉松、シラビソなどの針葉樹に変化すると同時に急激に藪が薄くなり、しまいには消えてしまった。冬でも日差しが無い針葉樹林の方が藪は繁茂しにくいようだ。最後の50mくらいは楽ができた。

 1480m峰てっぺんも背の高い針葉樹林で根曲がり竹は皆無、休憩に最適の場所だった。ただし樹林帯で展望はない。木の幹の一つに古い赤ペイントの痕跡があり人が入ったことがあるようだったが、それ以外に人工的な痕跡は皆無だった。たぶん残雪期に南俣山に登っても三角点のある肩までだろうし。どうせ誰も来ないだろうが昨日に引き続き赤テープを残した。今度は地上1.5mくらいに付けたので、残雪期でも見えるだろう。

 帰りのルートだが、往路を辿り送電線巡視路を戻ってもいいが、いくつもの小尾根を乗り越える必要があり無駄な体力と時間を消費するので、計画とは違うが北尾根を下ることにした。最高点と三角点の中間付近の尾根屈曲点から北に派生する尾根を下り、途中で北西に伸びる尾根に乗って下れば最初の送電鉄塔に出られるので距離も大幅カットできる。たぶん植生の濃さは往路と変わらないだろう。あとはあの視界の無い濃い藪の中で尾根を外さず歩けるかが問題。私の地図無しGPSでは往路の軌跡が無い尾根を下るときにはナビには使えないので地形図、方位磁石、高度計の3つで「アナログナビ」するしかない。まあ、これが頭の体操となり楽しいわけでもあるが。

 最初の関門は北尾根入口が判別できるか。あの付近は傾斜が無く今回のルートの中で最も根曲がり竹が濃いエリアである。背丈を越えた根曲がり竹なので展望は皆無に近く判断が難しいだろう。あ、もしかしたらあの藪無し小ピークが屈曲点か? だったら尾根が丸見えで簡単か。その先も藪が濃い間は気が抜けないだろう。

 無毛エリアを通過して再び根曲がり竹の海に埋没、ゴソゴソと藪を分けて藪無し小ピークに到着。方位磁石で北を確認して斜面を見下ろすが尾根が無い! 地形図を再確認するが最初から明瞭な尾根が伸びているはず。ということはこのピークは屈曲点ではなかったのだ。地形図をよ〜く見ると尾根幅が膨らんでピークが有りそうなのは屈曲点より僅かに西側で、これが現在地のピークだろう。とすると北尾根分岐は東側なので藪の中を逆戻り。この付近は藪が深い場所で、藪が深いと視界が無いので尾根が屈曲しているのか分からないし、北に分岐する尾根があるのか見下ろすことも不可能だが、幸いなことに北尾根は出だしが緩やかで尾根上に生える背の高い木の存在は根曲がり竹に埋没しながらも確認が可能で、尾根の分岐点を確認することができた。良かったぁ。

 尾根入口さえ分かればこっちのもので、根曲がり竹を押し分けて進んでいき、下りの傾斜が出てくると場所によっては先が見通せるようになりルートファインディングが格段に楽になる。藪の状態は高度が落ちると徐々に薄くなってきて、歩きやすいわけではないが三角点〜最高点間の藪を考えればかなりマシになりスピードアップだ。

 尾根が分岐する標高1410m肩は藪が薄まって肩らしい地形が丸見えで高度計を見るまでもなく分かった。左に進路を振ればいいのだが念のために方位磁石でか確認、間違いなし。再び根曲がり竹に突入し下っていく。標高1350m地点では短い区間だが尾根が広がり尾根直上がどこなのか判別できなくなり、やや進路が右にずれて尾根が収束したところでルートミスが発覚、根曲がり竹藪のトラバースはやっぱり苦労した。漕ぐなら藪が直立した状態の方が格段に楽だ。

 尾根に復帰してからは尾根を外すことはなかった。根曲がり竹はなかなか消えてくれなかったが標高1250m付近から下は断続するようになって密度も低下、そのうちに尾根上にだけ藪が繁茂するようになり右斜面を迂回、下部に杉植林帯が見えたので尾根を外れてそちらに移る。1480m峰と同じく年中無休で日差しを遮る針葉樹の下は藪が薄いと期待できるからだ。この考えは正解で植林の中は藪がほとんど無くて歩きやすかった。ただし一部にまとまった倒木があり、そこは避けて下った。

 植林帯のすぐ下が最初の送電鉄塔で計画どおりに下ってこられた。送電線周囲は木が電線に接触して漏電しないように伐採されているが、そのおかげで低い草木が茂って藪状態。藪と樹林の境界を下って巡視路に出た。さすがに藪漕ぎの後の巡視路は高速道路。快適に歩いて巡視路入口に到着した。

 着替えて体に付着した藪ゴミを濡れタオルで落として抗アレルギー薬を飲んでおく。私は長年のあまりの藪漕ぎのせいか、数年前から笹アレルギーになってしまい、笹が長時間触れたままだと皮膚がひどくかぶれてしまうのだ。藪漕ぎすると首筋から藪ゴミが入って腹回りに長時間触れることが多く、腹に強烈な湿疹ができることが多い。そこで着替えたら濡れタオルで細かなチリまで除去して抗アレルギー薬(花粉症の薬)を飲んでおくのが事後処理として欠かせない。湿疹が出ると約1週間ほどは強烈な痒みが続くので避けたい事象だ。今回はあれほどの藪漕ぎだったのに発症はなかった。

 帰りは路面状態が良好な右岸側の林道を辿っていったが、もうすぐ人家と言うところで崖が崩れて道を塞いでいた。残念。Uターン可能なスペースまでバックで戻り、路面状態が劣悪な県道を通って人里へ。今回は人も車も苦労した山だった。
 

 

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